What's the Vocal Percussion?

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更新日 2008-07-04 | 作成日 2007-12-02

What's the Vocal Percussion?

ボイスパーカッションとは?

文;北村嘉一郎

「ボイスパーカッション」とは、人間の声と息を活用してドラムやパーカッションのサウンドを作り出す技術を言います。日本では「ボイスパーカッション」と呼ばれますが、英語では「Vocal Drumming」または「Vocal Percussion」と、「声の」という意味の「Vocal」を用いた名称が一般的です。国内では2001年5月からスタートしたフジテレビ系列のテレビ番組「ハモネプ」でアカペラが紹介されるようになってから急速に名前が知られるようになりました。楽器を一切使わない人の声によるアンサンブルである「アカペラ」においては、特にアップテンポの曲には効果的な技術であり、楽器を必要としない手軽さが受けて、当時の高校生・大学生を中心に広く受け入れられたようです。

ボイスパーカッションのルーツ

筆者が見るに、ボイスパーカッションのルーツは「アカペラ」の発展に深いつながりがあるようです。

「アカペラ」とはもともと無伴奏の教会音楽を指す言葉ですが、1930年代~50年代のアメリカにおいてはゴスペルからDoo-wopの流れに至り、以降ジャズハーモニーを取り入れた新しい感覚のアカペラへと発展して行きました。楽器を使わないスタイルから、特にハーレムなどのストリートミュージシャンに特に広く受け入れられ演奏されました。その中で、よりテンポのある曲を演奏する際に、自然的に「ボイスパーカッション」が発生してきたと考えられます。つまり、アカペラにおけるリズムセクションとしてこの「ボイスパーカッション」が発展してきた経緯があります。実のところ、「ハモネプ」によって日本国内にアカペラが浸透するかなり前から、世界では様々なアカペラグループが「ボイスパーカッション」を導入していました。ジャズコーラスではアメリカの「Take6」、「Vox One」、「M-pact」、スウェーデンの「The Real Group」、フィンランドの「Rajatone(ラヤトン)」などが、また、アフロキューバンではキューバの「Vocal Sampling」、さらにアフリカ音楽ではザイール人とベルギー人で構成する女性コーラスグループ「Zap mama」が、「ボイスパーカッション」を活用した音作りをしていました。ここには挙げられませんがこれ以外にも数多くの国や地域でグループが存在しています。また、グループではありませんがBobby MacFerrinは、1人アカペラの中できわめて難易度の高い技術を披露していて、彼も広い意味でアカペラのアーティストといえましょう。そういったアーティストに影響されながら、わが国の「アカペラ」や「ボイスパーカッション」が発展をしてきたと言えます。

Human Beat Boxとは違うの?

よく、「Human Beat Box」という言葉と混同されることが多いのですが、一応の違いがあります。

「ボイスパーカッション」が主にアカペラで用いられる言葉なのに対して、この「Human Beat Box」はヒップポップやダンスミュージックのシーンで使われる名称です。演奏スタイルはアンサブルよりもソロ(1人)が多く、リズムだけでなく様々な物まねや効果音を交えて迫力のあるパフォーマンスを披露します。例えば、レコードの歪み音やシンセドラムなど、ヒップポップで多用されるサウンドをそのまま声で再現したりします。サウンドの方は、より強烈なビート感を求めて声帯をフル活用して重低音を増強し、ダンス音楽に似合うような音作りで、まさに「Beat box」としての独特のスタイルが特長です。アメリカのクラブなどで発展してきたようですが、ラップにも融合しながら、日本にもラップブームの到来と同時に広く浸透し、国内でもクラブで活動するアーティストが増えていきました。声を用いたドラムサウンドという点では「ボイスパーカッション」と同じものですが、雰囲気や見せ方は大きく異なっており、ひとつの独立したジャンルと定義してもいいと思います。
音楽には様々な組み合わせのアンサンブルがありますが、最近では「Human Beat Box」出身のアーティストがアカペラグループや楽器のセッションに参加したりして、「ボイスパーカッション」の領域を広げてつつあるようです。

その他のボイスパーカッション 「Mouth Sound」

また、以上とは別に、純粋な楽器の真似を意図してはじめられた「Mouth Sounds」または「Sound Imitation(音真似)」というカテゴリーもあります。80年代のアメリカでは「Mouth Sounds」というラジオの人気番組があり、そこに楽器の物まねを得意とする芸人が出演していました。ドラムはもちろん、トランペット、サックス、ベースなどの楽器を複数の人で真似をして、あたかも本物のバンドのように聴かせていました。国は変りますが、中国の「上海雑技団」にもデュークエリントンなどのビックバンドサウンドをそのまま声でやってしまうグループがあります。Mouth Soundは完全に楽器を声で再現するということを目的にしていますので、アカペラでの「ボイスパーカッション」とも「Human Beat Box」とも異なるもうひとつのジャンルではないかと思い、ここに取り上げてみました。

自分のルーツ 

以上3つのジャンルは、その目的やサウンドには多少の違いはあるものの、結局は声でドラムやパーカッションを出しているという点では共通したものです。私の場合は、小さい頃から家に流れていたJazzに影響され、ドラムのサウンドを口で真似するようになりましたので、最初のきっかけは「Mouth Sounds」ということになりますが、その後大学入学後、ゴスペラーズも在籍していた「Street Corner Symphony」というサークルに出会い、そこで上記のアカペラアーティストに影響を受け、アンサンブルにおける「ボイスパーカッション」を始めましたので、ルーツとしては複合的と言えるかもしれません。

ボイスパーカッションの奏法

「ボイスパーカッション」の音の出し方(演奏スタイル)については、人それぞれで実に多くの方法があります。一般的にその奏者が何のジャンルで演奏したいのかによって変っていくようです。例えば、ヒップポップやロック系の人であれば力強いサウンドが必要ですから、破裂音や声をしっかり出したサウンドになるでしょうし、ジャズアカペラであれば音量よりもブラシのような繊細なサウンドを求めるため、息をうまくコントロールした出し方になるでしょう。私の場合は後者に属しますが、通常あまり用いられない奏法として、「スネアドラム」の奏法を「吸う息」で表現しています(一般的には「吐く息」が大半)。これはロールや連音符などの装飾音の細かなフレーズが作りやすいからです。また、口の中と外の動きを極力少なくし、さらに息の出入りを抑制することによって、少ない息の流量でより大きな音を楽に出すテクニックを用いています。これにより、空気の流れにより口腔内が乾燥することを予防し、2時間くらいの長時間のライブでも消耗せずに安定した演奏ができるようになりました。かなりマニアックな話ですね(笑)。奏法に関しては何が正しいかというのはなく、結果としていいグルーヴが作れれば何でもありなんですね。とにかく気持ちのいいグルーヴを作りたい…、その一心で演奏活動に励んでいますが、最近でもまだまだ勉強が必要だと痛感することがよくあります。本当に音楽とは奥が深いと実感する毎日です。とにかく謙虚さを忘れないことが大切ですね。(終)

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Vocal Drummer Kaichiro Kitamura